戦後の日本を復興させた「高度経済成長期」の到来により,地方から大都市へ人々が集まった「民族大移動」が起こったため,都市部やその周辺部は大変な住宅難となり,低質な住宅がその場しのぎで次々に建てられてしまいます。
その状況を打破するため,都市郊外において大規模な住宅団地の建設が始まります。
その頃までの日本の住宅は木造住宅や長屋が主流でしたが,ここから日本の住宅は団地やマンションへと変わっていきます。
当時の人々はこの団地に憧れたといいます。
そこに「住める」イコール「成功している」という,いわば一種のステイタスだったようです。
月日は流れ,そのステイタスの象徴だった団地も老朽化の波には逆らえず,住む人も去り,解体を待つだけとなります。
実際容赦なく解体され,新しく建築されたところも多いようです。
しかし,この「スクラップアンドビルド」のやり方では多大な費用も時間も掛かります。
近年,「スクラップアンドビルド」ではなく,「リノベーション」によってこれら既存建物を生まれ変わらせようとする動きが増えてきました。
「ただ壊して新しく造る」という考えから,
「既存の価値あるものは活かしつつ建物自体を再生向上させる」。
建設会社の技量も確かめられる,いい潮流になってきたとおもいます。
暮らしのゆとりや満足度を示すものとして、家の広さというものがあります。
述床面積が多い住宅や、nLDKのように個別の部屋が多い住宅のほうが、
よりよい家だと思ってしまいがちです。
しかし、本当にそうなんでしょうか。
リノベーションをするときには、その考え方、つまりLDKの概念を捨てるとよい住宅が実現できるそうです。この考え方は新しいですよね。
購入した物件の既存の間取りにとらわれてしまっては、
リノベーションする必要がありません。
新しい空間をデザインするにあたっては、
今まで当たり前だった間取りに当てはめる発想を重要視することは
ないのかもしれません。
前回お話したケースでは、仕事場と住宅を一緒にすることで、
子供とのかかわり方も充実しています。
お互いの気配を感じることができる住宅、親のありがたさ、
親の仕事姿を見せられる住宅、素敵だと思います。
二人が同じ職業で活動している、
という家族の個性に応えることが出来た、すばらしい事例です。
このように、既存の物件では、対応できない家族に対しても、
問題なく対応できることが、リノベーションで住宅を再生させるメリットなのではないでしょうか。
そして、制約があるからこそ生み出される、よい案というのが、この家では実現されていると思います。
紹介する1つ目の事例は、
SOHO仕様のリノベーション住宅です。
仕事場と住宅を兼ねているタイプです。
そのため、玄関からすぐ仕事場が見えます。
また、窓に面して、二人が並ぶような形になって、
明るい職場を実現しています。
今回のご家族は、
夫婦で協力してイラストライターの仕事しているため、
このような希望となったのでしょう。
なぜ、リノベーション住宅を選択したかについては、
夫婦でいろいろ物件を見ていたが、
新築物件はどれも似たり寄ったりだったとのこと。
自分たちが希望する、間取りがなかったから、
自由な間取りに出来るリノベーション住宅への決断に至ったそうです。
ただ低コストだから住宅をリノベーションする、ということではなく、
リノベーションをすることで生み出すことが出来る個性に、その
理由があるのではないかと私は着目しています。
住宅をリノベーションするに際して最初にすることは、リノベーション
する中古物件を探すこと。
そして、次に考えるのは、その既存建物を活かして、自分たちの希望
を実現させるかを検討することです。
既存建物があると言うことで、どうしたいかが明確に出来る。
それが個性につながるのではないでしょうか。
ここからは、その個性が出ている8つの事例を紹介していきたいと思います。